<妊娠糖尿病>診断基準を厳格化

日本糖尿病・妊娠学会、日本糖尿病学会などは、妊娠をきっかけに発症する妊娠糖尿病の診断基準を厳格化する方針を決めた。世界糖尿病妊娠学会が世界約2万3000人の妊婦を対象にした調査を基に取りまとめた診断基準を採用、より軽い高血糖の人にも治療を促すことにした。

 妊娠糖尿病は従来、妊娠前に発症した糖尿病も含んでいたが、同学会などは「妊娠中に初めて発見または発症した軽い高血糖とし、明らかな糖尿病は含めない」と変更し、一般的な糖尿病と区別した。

 そのうえで、空腹時血糖値(1デシリットルあたり92ミリグラム以上)、75グラムブドウ糖負荷試験の1時間後の血糖値(同180ミリグラム以上)、2時間後の血糖値(同153ミリグラム以上)の三つの検査値のうち、1項目でも該当した場合、「妊娠糖尿病」と診断することにした。従来の診断基準は2項目に該当することが必要だった。


妊娠糖尿病

妊娠中にあらわれる高血糖です。母体、胎児ともに高血糖は危険な状態なので、厳格なコントロールと薬の選択が限られるので特別な注意が求められるものです。妊娠糖尿病は出産すると症状は治まりますが、その後2型糖尿病になるケースが多く見られます。

 糖尿病の診断のための検査は慎重に行われます。

1. 早朝空腹時血糖値 126mg/dl以上
2. 75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値 200mg/dl以上
3. 随時血糖値 200mg/dl以上

1〜3のいずれかの血糖値が確認された場合は「糖尿病型」と判定されます。

 別の日にもう一度行った検査でやはり「糖尿病型」が再確認できれば糖尿病と診断されます。ただし、高血糖の典型的な症状の口渇、多飲、多尿、体重減少などがあれば、1回の検査でも「糖尿病型」の場合は糖尿病と診断されます。同様に過去2カ月の平均血糖値を表すヘモグロビンA1C(エー・ワン・シー)が6.5%以上の場合や、確実な糖尿病網膜症が認められる場合、過去にも糖尿病型を示した資料がある場合なども1回の検査で糖尿病型を示せば糖尿病と診断されます。

4. 早朝空腹時血糖値 110mg/dl未満
5. 75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値 140mg/dl未満

4.と5.が確認された場合は「正常型」と判定されます。
正常型と糖尿病型の血糖値の間にはグレーゾーンがあります。

つまり、
早朝空腹時血糖値 110mg/dl以上126mg/dl未満
75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値 140mg/dl以上200mg/dl未満
の場合は「境界型」と判定されますが、これはあくまでも血糖値の判定区分としての「型」ですから糖尿病の判定ではありません。境界型糖尿病という糖尿病はありませんからご注意ください。

 ただし境界型の人は糖尿病に悪化する危険が高いので経過観察が必要となります。

 なお、血糖値を表すmg/dl(ミリグラム・パー・デシリットル)は血しょう(血液の血球成分を除いた液性部分。この場合は静脈血しょう値)1dlに含まれるブドウ糖の量をmgで表したものです。

 糖尿病の診断となる血糖値はこれを超えると急激に網膜症が増えることで設定されました。

 糖尿病は甘いものの食べすぎでなる病気と誤解していませんか? 正しい原因もしっかり知っておきましょう。

引用 毎日新聞